2021年11月9日火曜日

【統計ソフト】フリー統計ソフト「EZR」に解析パッケージを追加して使用する方法

フリー統計ソフト「EZR」には統計解析のための基本的なRパッケージが含まれていますが,ここでは初期インストールに含まれていない解析パッケージの追加方法とその使用方法を説明します。なお,追加したパッケージはEZRのメニュー画面からは操作できないため,解析処理はR Consoleからコマンド操作によって行うことになります。

説明環境はWindows10, EZRのバージョンは1.53です。その他,説明内の情報は全て本記事作成時点のものです。

以下ではirrパッケージ(irr=inter-rater reliability:検者間信頼性)の追加と,irrパッケージによる級内相関係数(ICC)算出の方法を例に説明します。

Ⅰ. 追加方法

1. DLサイトの選択

R Console > メニューの「パッケージ」>「CRANミラーサイトの設定」
>「Japan(Tokyo)」を選んで「OK」。

2. 追加パッケージの選択

R Console > メニューの「パッケージ」>「パッケージのインストール」
>「irr」を選んで「OK」。

パッケージの追加は以上で終了です。

Ⅱ. 使用方法

SAMPLEデータ(sample_icc.xlsx)はⅢからダウンロードできます。

1.解析用データセットの登録

EZRのいつもどおりの作業です。
Rコマンダーで,計算するデータをいつも通り(ファイル > データのインポート など)読み込みます。(データの読み込み方は以前の動画でも説明しています。https://youtu.be/R9MB58QODRU)

ここではデータセット名は仮に「Dataset」とします。

2.追加した解析パッケージの呼び出し

R Consoleで,以下のコマンドで追加した解析パッケージ(irr)を呼び出します。

library(irr)

3.解析の実行

級内相関係数(icc)を計算してみます。
R Consoleで,以下のコマンドを打つと,DatasetのICC(1,1)が計算されます。

icc(Dataset,"oneway","agreement")

 各級内相関係数の実行コマンドは以下のようになります。

ICC(1,1):icc(dataset名,"oneway","agreement")
ICC(1,k):icc(dataset名,"oneway","agreement","average")
ICC(2,1):icc(dataset名,"twoway","agreement")
ICC(2,k):icc(dataset名,"twoway","agreement","average")
ICC(3,1):icc(dataset名,"twoway","consistency")
ICC(3,k):icc(dataset名,"twoway","consistency","average")

Ⅲ.サンプルファイル

級内相関係数計算のためのサンプルファイル(sample_icc.xlsx)です。以下の画像をクリックするとダウンロードできます。

Case1とCase2,Case3でシートを分けてあります。
・シート「ICC_Case1」=Case1用のサンプルファイルです。
・シート「ICC_Case2,3」=Case2,3用のサンプルファイルです。

Ⅳ.参考リンク

・irrパッケージの公式ドキュメント / CRAN
https://cran.r-project.org/web/packages/irr/irr.pdf
・級内相関係数(ICC)intraclass correlation coefficients / 日本理学療法学会連合
http://jspt.japanpt.or.jp/ebpt_glossary/icc.html

【統計ソフトヘルプデスク】
メール:mnc_stat☆ml.toho-u.jp
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